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2005-04-28

災難と仏教徒 『中外日報』の記事から

仏教新聞『中外日報』(中外日報社)3月24日掲載のスマナサーラ長老の署名記事をご紹介します。

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『災難と仏教徒 冷静適切に対応を~スマトラ沖大地震 津波被害に思う~』
日本テーラワーダ仏教協会長老 アルボムッレ・スマナサーラ

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 二〇〇四年十二月二六日スマトラ沖大地震によって起きた津波による被害は、インドネシアだけではなく、インド洋周辺の国々でもこれまでの歴史上、体験したことのない規模のものでした。本や新聞で読んだことはあるが、地震の経験も津波の経験もまったくなかった国々の人々は、何が起こったのかと理解も出来ず、途方にくれていたのです。防災システムもなく、避難訓練も受けたことがないため、被害は想定しうる最悪の規模になってしまったのです。
 津波の被害を受けた国々の中で、スリランカは二番目に被災者が多い国です。二〇〇五年二月二一日の発表によると、死者は3万1047人、行方不明者は4115人でした。全壊した家屋は6万6681軒、半壊家屋は4万1467軒、避難生活を余儀なくされている人は54万6509人にも上ります。二ヶ月経ってからもその数字ですので、地震が起きた当初の状況はもっと酷かったでしょう。スリランカは二〇〇一年の統計で、人口約1873万人ですから、日本の人口1億2772万人に置き換えれば、今なお383万人以上が避難生活を送っていることになります。経済的には恵まれた国ではないし、突然このような自然災害に襲われたことは大変なショックだと思います。
スリランカの人口の八〇%は仏教徒です。幸いにこの国は地震の発生しない位置にあり、歴史上、一度も地震に見舞われたことはなかったのです。津波についても、スリランカの歴史書「マハーワンサ」に古代の神話的なエピソードとして一度記録されているだけです。国民にとっては青天の霹靂のような出来事だったでしょう。仏教徒として、まったくも予測できなかった災難に遭遇したとき、どのように対処するのかと、考えてみる価値があります。
 スリランカは大乗仏教ではなく、上座仏教で南伝仏教とも言われています。タイ・ミャンマー・ラオス・カンボジア・スリランカは、上座仏教の国々です。釈尊の直々の教えを信仰しています。仏陀は生きることそのものを苦しみに覆われているものだと説かれています。人生の幸不幸の基本設定は、その人の過去の業の結果だと信じています。今をどう生きるか、ということによって、業を好転させることも、また暗転させることもできます。スリランカの人々は、そのような価値観の元で長いあいだ生活してきたので、災害による嘆きや悲しみというものは、すぐに落ち着いていきました。同じようにタイでも、人々は早くから正気に戻りました。
 災害が起きた時に、なぜこんな不幸になったのか、神も仏もいないのか、なんで私だけが、などといって嘆き悲しむことはみっともないのです。自分の不幸を怒りと憎しみで他人の所為にしようとしているのです。そういう思考なら、何年経ってもこころは苦しみで蝕まれるだけで、起きた災害よりも酷い不幸を作って、一生過ごすことになるのです。「今の不幸は過去世の悪業の結果かもしれません。今さらどうすることもできない。自分が犯した罪だから、人に文句を言って新たな悪業を作ってはいけません。これからどうするべきか、この不幸をどのように乗り越えるか、という事が何よりも大事です。」のように考えるのが、上座仏教徒です。迷信ではないかと思われるかもしれませんが、怨み辛みなく、早くも正気に戻ることができます。
 人に智慧があるか否かは、災難に遭遇したとき分かります。他人が親しい人か悪友かということも、自分が不幸になったとき分かります。それが仏陀の言葉です。人はどんな不幸に遭遇するか、知れたものではありません。何が起きてもその時冷静を保ち、適切な対応をすることが、仏教徒のなすべき生き方です。人が不幸になったら助ける人こそが、まことの善友なのです。津波の災難は我々に、仏陀に説かれたこの言葉を思い出させます。世界各国から援助が殺到したことを見れば、スリランカ国民は善友に恵まれていると思います。

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~生きとし生けるものが幸せでありますように~

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